小新女性クリニック

女性特有の疾患Gynopathy

婦人科専門医がご説明します

婦人科専門医の見解として説明いたします。また日々進化する有効的な治療法や医学的解釈も掲載しています。既に治療を受けている方や「もしかしたら自分も・・・」と心当たりがある方も、参考にしてください。

女性特有の悩みと疾患

月経の悩み

通常であれば月経は、およそ25〜38日の間隔で繰り返し、期間は3〜7日、経血の量は20〜140mLとされています。
ただ月経というのは、初経から2〜3年は周期などが安定せず、また子宮だけでなく卵巣や脳も、月経の調節に関わる器官であるため、これらに異常があると周期が早い遅い、経血量が多い少ない、期間が長い短い、痛みが激しいといった症状が出るようになります。

月経痛がひどい

月経痛がひどくなると、月経の前や月経とは全然関係ないタイミングで痛みが出ることがあります。
また、排便痛や性交痛が出てくることもあります。
そういった痛みの原因として、子宮内膜症という疾患も考えられます。

月経不順

急激な体重の変化やストレス、競技レベルでの激しい運動、ホルモンバランスの乱れによって、月経不順になります。

月経以外にも出血がある

ホルモンバランスが原因で起きる場合がほとんどですが、稀に性感染症やポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどの疾患の場合があります。まずは診察にお越しになることをお勧めします。

月経周期の調整

どうしても月経を移動させたい時には早めに相談してください。中用量ピルを月経が始まると思われる日の5日前から内服します。

更年期の悩み

50歳前後に起こる、女性ホルモン欠落症状。
更年期を境に、骨粗鬆症や動脈硬化などが発症しやすく、ひいては骨折、心筋梗塞、脳梗塞といった、将来「寝たきり」となる病気の引き金となります。
ホルモン補充療法(HRT)により、現在の不快な症状や将来の病気のリスクを軽減させることが期待できます。

肉体的な症状

のぼせ・ほてり・動悸・発汗・倦怠感・膀胱炎・腟炎・月経の乱れ・皮膚の乾燥・肩こり・頭痛・めまい・しびれ・冷え性など

精神的な症状

不安・不眠・イライラ・情緒不安定・無気力・無感動など

避妊の悩み

OC(低用量ピル)やIUS(避妊リング)による避妊方法があり、年齢や生活スタイルなどに合った方法をご指導いたします。患者さまのどういった治療をしたいかという希望を聞きながら、方針を決めていきます。

避妊治療は、薬を飲むかリングをいれるかのどちらか一方になります。

OC(低用量ピル)

OC(低用量ピル)は正しく服用することで、ほぼ100%の避妊効果と生理痛改善や生理周期を整える効果があります。当クリニックでは、ピルについての説明や安心して服用できるようにご指導いたします。

OC(ピル)について

緊急避妊(ECピル)

性交後72時間以内に内服します。緊急避妊薬を服用しても妊娠する可能性はありますので、生理予定日7日を過ぎても生理が来ない場合には受診してください。

緊急避妊法について

IUS(子宮内避妊システム)

IUSは緊急避妊に用いるレボノルゲストレル(黄体ホルモン)を内包したホルモン治療に用いる薬剤リングです。

Cu-IDU(銅付加子宮内避妊装置)

避妊リングの一種です。主に緊急避妊法として使用します。経口薬による緊急避妊法より高い避妊効果が期待されます。

不妊の悩み

不妊は心身ともに重度のストレスがかかる、当事者にとっては大変困難なテーマです。 また、不妊に至る背景も十人十色で、決して一様ではありません。 それぞれの患者さまに、十分に納得していただきながらそれぞれの検査と治療を実施し、妊娠に向けての現状と今後の展望にも配慮してお話しさせていただきます。 ぜひ一度ご相談ください。

妊娠できるかどうか知りたい

不妊症の定義は、2年間妊娠しなかった場合とされていましたが、平成27年より、1年間避妊をせずに妊娠しない場合に変更されました。不妊症の原因は様々で、超音波の検査、ホルモン検査、性病検査などが必要です。 また、不妊症の原因として、男性にも原因があることが50%ほどありますので、男性側の検査=精液検査も必要です。まだ妊活を始めていない方でも、将来の妊娠を考えている場合、早めの検査をお勧めします。

これから妊娠を希望される皆様へ

なかなか妊娠できない

不妊症の原因検査、ホルモン検査、排卵誘発、タイミング療法を行っています。
人工授精・体外受精に関しては、専門病院へご紹介させていただきます。

感染症の悩み

感染症(性病)とは「性的接触によって感染する病気」と定義されています。人としての営みの中で誰にでも感染する可能性があり、とてもデリケートな問題です。また、症状が軽く気付かないケースも多く、自覚症状があっても「クリニックに行きにくい」という思いからそのまま他の人へ感染していくこともあり、とても深刻な問題となっています。

性病の心配がある

「おりものがいつもと違う」「パートナーが性病と言われた」などの性病の心配があるときは、検査が必要です。
クラミジアや淋菌は子宮以外にのどに感染することもあるため、子宮の検査だけではなく、喉の検査も受けるようにしてください。
のどの検査は、うがいをして調べます。喉に感染すると、風邪のような症状が出ることもありますが、全く症状が出ないこともあるため、心配な時には検査が必要です。

おりものやできものが不安

性病には、クラミジア、淋菌、ヘルペス、コンジローマ、梅毒、HIVなど様々あります。
おりものが増えていると、クラミジアや淋菌の可能性、できものが出来ていると、ヘルペスやコンジローマ・梅毒の可能性が出てきます。
ただ、クラミジア・淋菌・梅毒では、明らかな症状がない場合もあるので、心配であれば一度検査を受けてください。

子宮がん予防・検診

子宮頸がんの原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)は性交渉を介して感染するため、多くの女性が感染するリスクがあります。他人事と思わず、定期的な検診を受けることが大事です。また、子宮頸がんは予防ワクチンを接種することで約6割が予防でき、現在では9年以上の間、感染をブロックし続けることがわかっています。当クリニックでは多くの女性に、このワクチン接種と検診をお勧めします。

子宮頚がん・子宮体がん検診

軟らかい器具で子宮頸部の粘膜を採取します。これを顕微鏡で調べることにより、がん細胞の有無などを確認します。細胞診の際に、少量の出血を伴うこともありますが、痛みは殆どありません。

子宮頚がんと検診のススメ

子宮頚がん(HPV)ワクチン

厚生労働省より、2022年4月から積極的な推奨が再開されました。

当クリニックで接種できるHPVワクチンは、ガーダシル(4価)公費とシルガード(9価)自費の2種類があります。通常対象者は、小学6年生から高校1年生相当年齢の女子です。また、公費で接種できるキャッチアップ(打ちそびれ)対象者は、平成9年4月2日から平成18年4月1日生まれの女性となります。
年齢が早い方が免疫効果が高いと言われています。

ご存知ですか?
日本におけるHPVワクチンの接種状況

日本の接種率

日本においては、2010年度の終わりに公費助成が開始され、接種率は約7割という高いものでした。2013年4月からは定期接種(12歳〜16歳)となったにも関わらず、HPVワクチン接種後の女子における「多様な症状」が繰り返し報道され、厚生労働省により差し控えが発表されました。2022年4月からは積極的な勧奨が再開されましたが、接種率は1%にも満たない状況が続いています。